大好きな趣味で開業する!ネット古本屋開業マニュアル
大好きな事で開業や副業をしたい」方には、自分が好きな趣味の分野で、お店が開けるネット古本屋をおすすめします。ワクワクな副業・週末起業ライフ実現の方法を連載!
■■目まいのする古本相談室 第7回■■ 浅生ハルミン
【Q】
そのだみきひこ様(26歳・男)
ハルミンさん、こんにちは。
最近気に入っている行為があるのです。
それは、本のカバーをはずしてみるといろいろな
絵、しかけがあったりするのを見ることです。
隠れた装丁も楽しいものですね。ハルミンさんも
このようなことをすることありますかー?
【A】
こんにちは、先週日曜日にあった地震が東南海地震と関係
があるかどうかコメントしている地震予知情報センターの先
生がさきほどからテレビジョン放送の画面に映っているので
すが、その先生の背後に見える本棚は多すぎる本があふれ出
していて、その本の中身はいったいどんなのかなーと気にな
ってしょうがない浅生ハルミンです。地震のプロの人のまう
しろにある本棚が、あのように、揺れたらすぐ崩れ落ちてし
まいそうな状態にあるということは、大地震はしばらく起こ
りませんよという無言のメッセージなのでしょうか。
本の装丁…それは本をそっと包んで中身とのハーモニーを
楽しませてくれる仕掛け…。カバーをはずしてみて、それを
助けるような造本の設計を感じられるとき、その本を手に取
った喜びはまた格別のものです。お財布のヒモもゆるみます。
隠れた装丁は本のおまけみたいなもの、という得した気がす
る楽しみもありますが、一方で、「なにもしてない」が設計
されている本もいいなあと思うし、古本では前の持ち主の「
書き込み」というのも本を読むときの楽しみのひとつだし、
なんというのだろうか、カバーの外側にもう一枚掛ける古本
屋さんがつけてくれるカバー(三茶書房のこけし柄…)もき
ゅーん。帯は?帯は背と裏表紙の接する折り目のところで二
つに折って(それは折り目が表紙に響かないようにという貧
乏性からの発想)、本屋さんがくれたレシートも本に挟んだ
まま読みますが、そんなことをしていたら着ぶくれのように
なってしまうので、理性で押しとどめねばなりません。この
ように、私は一冊の本に付き添っている紙類はすみからすみ
まで本の一部と思ってしまいます。といっても装丁者の綿密
な設計いがいのものまで、何かを読み取ってしまうのは私の
悪い癖なのかもしれません。
先述の、テレビ画面に映っていた地震情報センターの崩れ
落ちそうな本棚は、実直そうな先生の姿とは激しく対照的で
ありながら、かつ「地震への備えはまだしなくていいですよ」
という安心を如実に伝えているいい装丁だと思いました。ち
なみにその先生のコメントも「このごろの大きな揺れは東南
海地震とは関係がないです」ということだったです。よかっ
たー!それでは失礼いたします。
☆著者プロフィール----------------------------------------------
浅生ハルミン(あさお・はるみん)
イラストレーター。『彷書月刊』にて「ハルミン&ナリコの読書クラブ」を
連載中。『modern juice』にも毎号寄稿。その他数々の雑誌にイラストや
コラムを寄稿。本の装丁も手がける。
集めた古本を販売する「ハルミン古書センター」も次々と支店が。
ハートランド(西荻窪)http://www.heartland-books.com/
古書上々堂(三鷹)〒181-0013 三鷹市下連雀4-17-5 TEL 0422-46-2393
古書現世(早稲田)http://www.w-furuhon.net/
上記古書店でハルミンセレクトの古本を販売中。
「ご来店お待ちしております あさお」
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■■目まいのする古本相談室 第6回■■ 浅生ハルミン
【質問】
chinatuさま 23歳女性
はじめまして。いつもメルマガ拝見しております。
私の古本歴はまだまだ短くたったの1年です。
どちらかというとキレイなお店より、おじいさんが
一人でやっているような本屋さんがしっくりきます。
そういうお店って独特の匂いがありますよね。
なんだかおちつく匂い。うちもおじいちゃんが凄い
本をいっぱい持ってて、部屋にどーんと積んで
あるんですけど、同じ匂いじゃないような・・・。
この違いってなんなんでしょう。本屋さんの魔力?
変な質問ですみませんが、ハルミンさま、私の
もやもやを解消してくださいませ。
【答え】
「いつか自分のお店を持ちたいワ」と胸に秘めているのは銀座
のやり手のチーママだけでなく、古本を集めるだけではもの足
りなくなってしまった好事家もそう望まれるかたが多いと思う
のですが、ご相談者のchinatuさんもまた「自分の部屋が古本
屋さんのもつ独特の雰囲気にならないのはなぜか」とのことで、
それは一度お宅にうかがって、実際に間取りと本棚の状態を拝見
してみないことにはなんとも……。でもでも、そんなことは無
理なので、私の想像の範囲でお答えいたします。
部屋に古本屋さんの雰囲気を…それはまず、冷蔵庫や家具を捨
てて生活感をなくすことから始まります。お店によっては店舗と
お茶の間が直結している場合もありますので、もしchinatuさんが
そちら派であれば、部屋の前半分に本棚を集中的に並べ、残りの半
分の床を少し高くして、こたつやちゃぶ台やテレビを置かれるの
がよいと思います。この配置だけでもずいぶん古本屋さんの雰囲
気に近くなるのではないでしょうか。
ただ、生活感を取り除いた非日常的な空間に本をならべること
によって、視覚的には近づくことができたとしても、それはしょ
せん似て非なるもの。といいますのも、古本屋さんはただお店で
猫を撫でてのんびりしているわけではなく、古本屋さんの床下に
は、本を売ってお金に換えねばならぬという熱い地下水脈が通っ
ているのです。本の陳列方法やセレクションもそれに沿って工夫
されているものだと思いますので、chinatuさんも「蔵書はすべて
売り物だ、この本を売るためにはいったいどうすればよいのでしょ
う…」という気迫を込めるようにすると、古本屋さんのもつ、形
のないリアリティがchinatuさんのお部屋にも立ちのぼりはじめる
のではないでしょうか。
夢のない話だなーと思われたかもしれません…ここまで読んで
くださったお礼に店舗物件の情報を記して筆を置きます。
○池尻大橋の商店街に、店主のおじいさんが亡くなって、しばら
く閉店していたテーラーに賃貸募集の貼り紙あり。
小さなショウ・ウインドゥと木枠のドアが素敵でした。私だった
らそこに本を二、三冊、譜面みたいに立て掛けたい。ついでにこ
けしもならべてみたい。そして夜はカーテンをしめます。テーラ
ー、もう誰かに借りられてたらごめんなさい。
☆著者プロフィール----------------------------------------------
浅生ハルミン(あさお・はるみん)
イラストレーター。『彷書月刊』にて「ハルミン&ナリコの読書クラブ」を
連載中。『modern juice』にも毎号寄稿。その他数々の雑誌にイラストや
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集めた古本を販売する「ハルミン古書センター」も次々と支店が。
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■■目まいのする古本相談室 第5回■■ 浅生ハルミン
KAZUさま(29歳・男性)
以前ネコと古本について書かれておられましたが、
うちのネコも大変な癖を持っています。僕が寝転んで本を
読もうと思い本を広げるとどこからか走ってきて本の上に
乗ってしまうのです。一番落ち着く姿勢が寝て読むという
姿勢なので、座ってとかで読みたくないのです。
やはりネコ優先であきらめるしかないのでしょうか。
お知恵を貸してください。
KAZU様。残念ながら、それをやめさせるのはちょっと
むつかしいと思います。本をひろげたところにわざわざ乗る
という行動は、私の知っているだけでも、私の家の猫、友だ
ちのまみこさんちの猫、『村上春樹とネコの話』という本を
書かれた鈴木和成さんというかたの家の猫…とぱぱっと数名
おもい浮かぶくらい、猫のメジャーな行動のようです。その
理由はたぶん誰にもわかりっこないのですが、猫をなでなで
しながらこれまでの私と猫との交流に思いを馳せてみると、
人が猫を擬人化して見ているように、猫も人間を猫と思って
いるからだと思えてなりません。
思いますに、人は、ひろげた本の上に猫が乗ってくること
を「もう邪魔よ」としりぞけますが、猫にしてみれば、よく
わからない四角い物体が急に2倍も大きくなって(本を見開
いたから面積は倍)、俺のごはん運び係りの生き物に急接近
した!大丈夫なの?!と心中おだやかではなくなり、自分の
手に負える対象かどうか、人間の安全を確認しているのだと
思うのです。同じように人がトイレにこもった時や、布団を
かぶった時、お風呂に入った時なども猫はととととっと駆け
つけて何かを点検しにやって来ますが、猫にとってはそのど
れも「俺のごはん運び係りの危機」と感じているのではない
でしょうか。飼い主が自分(猫)よりそこそこ大きい物や
空間(お風呂やトイレ空間も一個の“物体”だと思っていそう)
に接しているとき、よりその気持ちが盛り上がっているような。
確認しおえると気が済んで、じっくり落ち着いているようだし。
猫は人を心配しているというのに、そうとは知らず邪魔を
しにきたと捉える人間… それはまるで、好きな娘に出した
恋文のお返事に「私、貴方が好き」と書いてあるのを読んで
「キカタってやつのことが好きだっだのか、フラレたーーーっ」
と嘆き悲しむ漢字が読めなかった男子のようなものなのかも
しれません。サインの読み違いですからしょうがないのです。
それでは私の少ない体験から思いつく解決策を。
それは「囮(おとり)の本を置く」です。
さも囮の本を読みたげな雰囲気を醸し出し、猫が乗ってきたら
素直に譲る演技をして、しょうがなさそうに本命の本を広げる。
あくまでもこちらは二番目というふうに…。
猫は自分が飼い主よりも偉いと思っていて、人はその被虐を
甘んじて受け入れなければならないとよく聞きますが、そうと
も言い切れない、猫の意外な包容力をあらためて感じることが
できる質問でした。ありがとうございました。
☆著者プロフィール----------------------------------------------
浅生ハルミン(あさお・はるみん)
イラストレーター。『彷書月刊』にて「ハルミン&ナリコの読書クラブ」を
連載中。『modern juice』にも毎号寄稿。その他数々の雑誌にイラストや
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■■目まいのする古本相談室 第4回■■ 浅生ハルミン
tomohiroさま(35歳男性)
Q かなり前より浅生ハルミンさんの文章を拝読しております。
なんとも言えない不思議な文章にすっかりファンになって
おります。そこで、相談というより質問ですみませんが
浅生さんの好きな本はどのあたりなのか、理由と共に教えて
いただけないでしょうか。妻も最近、本に興味があるよう
なので、浅生さんの好きな本でも薦めてみようと思って
いるのです。よろしくお願いいたします。
A 古本や古道具……総じて古いものを私が好きだと誰かの口伝え
で知った親戚の叔父さんは、久しぶりに帰省した私に「古いもの
好きやったらこれあげよか」と言ってひいおばあちゃんの代から
使っていた脱殼機と鎗を持ってきてくれたのでした。お気持ちは
ありがたいのですがそこまで大きいものはちょっと…。
このように、ひとに私の好みの傾向がうまく伝わることは稀。
また、自分の傾向を説明することは自分で自分自身を解剖する
みたいな気持ちになったりもしてなんだかつらいナー。
本のたのしみは読むことだけでなく、それを手にしたときの状況、
手触り、めくり具合、挿画や装丁、本文組、紙とインクの相性など
もありますが、それを言ったとき相手の反応が薄いことが多いから、
どんな本が好きかというとき、まずは繰り返し読む本を考えます。
もっか私が何回も読み返している本といえは詩人・平出隆の小説
『猫の客』です。これは去年の暮れに恵文社で作られた「心に残る
古本との出会い」というテーマの冊子に書いたときから変わりません。
ページをめくるごとに、主人公夫婦の家に通ってくる隣家の猫の仕種
やからだつきや発見が、選びぬかれた言葉によってあらわされている
のですが、猫の記述がなかなか出てこないとなんだかさびしい気持ち
になってくるし、それは小説の中の、家に猫が姿を見せない日の夫婦
の気持ちと重なります。古い民家と小さな庭とそこに繁った雑木と、
塀の向こうの町内と、少し離れたところにある新しいアパートという
地理もまた、現実の一匹の猫の活動範囲をなぞっているようにも思えます。
読み終わりたくないーっていくら思ったってページをめくれば時は
進み、それは実際に猫を飼う人が、いつかいなくなってしまうことを
わかっていながら猫と一緒にすごすこととも重なり合います。もはや
この本を読むこと自体が猫と過ごすことに他ならないのです。この本
が猫なのです。本はそのような時間と空間を閉じ込めた箱のようでも
あり、ページをめくれば幾度も繰り返して猫の行方に思いをめぐらす
ことができるのです。
さてさて、あとは読みたいものがいくらでもでてくるはず。『葉書で
ドナルド・エヴァンズに』(作品社 2001年発行)を読めばドナルド・
エヴァンズの切手を見たくなって『銀花』の別冊の手紙特集(文化出版局
1984年発行)を探しに古本屋さんをまわってしまうし、『みずゑ』の
ジョセフ・コーネル特集(美術出版社1990年発行)では平出隆もまた
箱形のオブジェを作っていたことがわかるし、ユリイカのバックナンバー
をぱらぱら見てたら若き日の平出隆の肖像写真を発見して「ユリイカとっと
いてよかった…」と一人ごちたり、なにかとたいへんなのです。ちなみに
『猫の客』と『葉書でドナルド・エヴァンズに』は新刊書店でもまだ買う
ことができます。
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浅生ハルミン(あさお・はるみん)
イラストレーター。『彷書月刊』にて「ハルミン&ナリコの読書クラブ」を
連載中。『modern juice』にも毎号寄稿。その他数々の雑誌にイラストや
コラムを寄稿。本の装丁も手がける。
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■■目まいのする古本相談室 第3回■■ 浅生ハルミン
タンタンさま(23歳女性)
【Q】
はじめましてー。ワタクシ、昨年末に結婚しました。で、引っ越し
て旦那と住むようになったのですが、実家より狭くなったのでかわ
いい本たちが本棚からあふれて床に積まれています。それを旦那が
独身時代から飼っている猫たち(2匹)が狙うんですっ!
隙を見せると頭突きして本を崩したり、爪とぎに使おうとするので
す。旦那はそんな本捨てろとか言うぐらい理解がありません(長新太
さんの絵をヘタクソ扱いします)。
どうしたらよいのでしょう。ハルミンさん助けてー。
【A】
タンタン様、猫に本を頭突きされるのですか? まあ、なんて
うらやましい!!
実は私の家にも猫がいます。猫がうちに来た当初は、大事な本に
爪を立てられないようにガラス戸のついた本棚に用心深く避難さ
せたりしていたのですが、どういうわけか猫は本に興味を示すこと
なく、いたって平常心なのであった。ただ、ミシンには異常な執着
をもっていた時期がありました。私がミシンで作業をしているとき、
ミシン針の動くところにちょいちょいっと前足をかけてきて…。
まさか針の下には入らないだろうとタカをくくっていたのも束の間、
思わず猫の前足をダダダと縫ってしまって私も猫も同時にぎゃーっ!
と絶叫したのでしたが、それ以来猫は私がミシンを出すのを見ると
さりげなく隣の部屋へ入ってゆきます。猫と災難といえばそれくらい
で、あとはいたっておとなしいうちの猫。
猫のあらゆる猫らしい局面に関わってゆきたいと願っている私と
しては、「店で飼ってる猫が『描かれた幕末明治』っていう7000円
もする本に頭をこすりつけてるから爪研ぎされたら大変だと思って、高
いところへ隠そうとしたらすでに外箱が刺身のつまみたいにぼろぼろに
なってたんですよ!」という、とある古本屋さんちの溌溂とした猫っぷり
がうらやましくてしょうがありません。
話は変わって、ある日、知人から陸亀をあずかりました。
陸亀はずいぶん育ってて、大きな椰子の実くらいの大きさと重みを
もち、軽い椅子とかだと頭でそのまま部屋のすみまでずいずい押し
進むくらいのたくましい力があるので油断がなりません。
その亀を部屋に残し、一日外で遊んで帰ってきたら、なんと私が
描いた絵の上に亀のうんこの茶色いタッチが…。はっとして床を
見ると亀が足の裏にうんこをつたまま部屋を歩きまわったと思われ
る形跡があたりいちめんにちりばめられて…。
それで私の描いた絵の上にもちょうどいいバランスで茶色い
テクスチャーがずびずびーっとのって…。いっしゅんヨゼフ・ボイス
のドローイングかと思いました。不思議とわき上がるほがらかな気持ち。
動物のうんこがこんなにかわいいと思えるだなんて。しかもこんな
ことを意図的にする人は滅多にいません。その昔、ショパンは猫が
偶然ピアノの鍵盤の上を歩いたことをヒントにして「子猫のワルツ」
をつくったそうだし、狩野永徳という人は猫の足跡を梅の花にみたてて
屏風絵を描き、お殿様にほめられたそうだし、こんなふうに、猫が本に
爪をたてることも偶然を利用した動物と人間のコラボレーションだと
思えば、なんらかの人生のたしになってゆくのではないでしょうか。
もし古本屋さんで「猫かじり跡有り」っていう注意書きがしてある本を
見つけたら絶対買う! 収集したいくらい! そんな本があったら
いいなあ。
☆著者プロフィール----------------------------------------------
浅生ハルミン(あさお・はるみん)
イラストレーター。『彷書月刊』にて「ハルミン&ナリコの読書クラブ」を
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■■目まいのする古本相談室 第2回■■ 浅生ハルミン
K・Uさま(28歳男性)
【Q】
はじめまして。
最近いろいろな古本屋さんが増えています。ネットだけの
店も増えています。僕もプロのようになれなくとも週末古本屋
になってみようかと思ってみたりしています。
お正月に旅行がてら京都の恵文社で行われた古本市に行ってき
ました。浅生さんも「ハルミン古書センター」として参加され
ていましたね。品揃えはやはり「せどり」したものを並べてい
らっしゃるのでしょうか。やはり売るために買うとなると読む
ために買うのとは違うのではないかと思います。
浅生さんはどのようにわけていますか?教えてください。
【A】
みなさまは「恋愛と結婚は別物」という、旅館のテレビ(=ここ
から先は有料です)めいた変わり身の早さをあらわす言いぐさを
どう思われますか?
そんなこと、大人になってもまだ考えているなんて幼稚だわ、と
みくびられてしまいそうですが、思うに恋愛と結婚は分けること
のできない混然一体となったもので、その境目はこれと、つねに
はっきりさせておくこのとのほうが難しいのではないでしょうか。
理想と現実を分けて考える難しい、ということは、私がにわか
古本屋をするときどんな本を置くかということにも当てはまります。
たとえば自分はあまり興味の持てなかった人気作家が死亡したとき
追悼のポップを早業で作り0をひとつ多く書いたりしたら…きっと
私の心は荒むでしょう。サラダ記念日の初版本が高値になると小耳
とはさみ、ブックオフでそればかり探していたら…大量の本を安く
買い叩かれたお客さんの残留思念できっと心が荒むでしょう。この
ように、いくらお金が儲かりそうだからといって己になじみのない
本を自分の棚に並べることを身体が拒否してしまうのです。ただ、
自分が知らなかっただけでで読んでみるとなじみ深い気持ちになる
本もあるかもしれず、ゆえに本はとりあえず手にとってよく見てい
きたい、むしろ無差別なほどに!と思います。
私が自分の棚で売りたい本は、読んで面白かった本、好きな著者
とそれに関連した本、装丁や挿画がいい本、本文組が美しい本、
部分的に何かに役立ちそうな本、その本のありよう自体がすばらしい
本…など枚挙に暇がありませんが、とどのつまり自分が気に入った本
になってしまいます。これは古本屋がなりわいではない素人ならでは
の気楽さです。ただ気楽なぶん、目論みをはずす悲しさもあります。
「これを婦女子が買ってくれたらいいな」と期待して置いてみた
1980年頃までの「体位の本」は、その語感の弱さゆえか、中身の
インパクトがありすぎるせいか、私が棚をお借りして古本屋さんを
している西荻窪のハートランドではかなり前から売れずに座を温めて
いて、自分の好きな本が売れる本だとは限らないのだな、世の中は
なかなか上手くいかないな、とひしひし感じる昨今です。とても
見どころの多い本なのにな。謎、謎。“古本を売るのが上手い人”
というのはきっと、多くの人に「あー、それは前から私も気になって
いたのよー」という気持ちを起こさせるちからを持つ人なのではない
かと思います。
みなさまは、「恋愛と結婚は分けて考えますか?」と聞かれたら
どう答えますか? これはっきり「分けてます」と答える人なんて
いるのでしょうか。私ははっきりと答えられないあいまいさの中に
こそ、生きるよろこびが含まれていると思います。みなさまに素敵
な本との出会いがありますように。アーメン。
☆著者プロフィール----------------------------------------------
浅生ハルミン(あさお・はるみん)
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■■目まいのする古本相談室 第1回■■ 浅生ハルミン
O・Mさま(25歳女性)
【Q】
ハルミンさん、こんにちは。いつも『彷書月刊』拝読しています。
最近気になることがあります。古本屋さんに行くと店主のオジサン
が鼻歌を歌っていたり、奥さんと夕飯のメニューを決めていたり
と思わず聞き耳を立ててしまう事があります。このような事は
ほのぼのしていて嫌いではないのですが、気になってしまい本棚
に集中できないという本末転倒ぎみになってしまう最近です。
ハルミンさんはこのような事に出会うことはありますか?
気になりすぎるということはないのでしょうか。
【A】
古本屋…、それは人と人とが銭と本を交換しあう「商店」という
公の場所でありながら、草履を脱いで一歩踏み込めばそこは家族だ
んらんの「茶の間」という私的空間をも内包する、いわば8時だヨ!
全員集合の舞台セットにも似た多目的空間のようなもの……と思う
私は、子供の頃いちどでいいからお店屋さんの子供になってみたいと
思ってました。だから、そういう間取りの古本屋さんに出くわすと、
その頃の気持ちがよみがえって少し懐かしいです。
しかし、そんな甘酸っぱい気分は、ある日、とある一軒の古本屋
さんによって大きく揺るがされました。
その店は、かつてお店の容積いっぱいの分類されていない本に、
すべて同じ値段がついているという(安く均一にしてさっさと本
をさばく合理的な販売法とはどう見てもちがう)、やる気のなさ
が漂うお店だったのですが、先日、ひさしぶりに行ってみました
ら古いお店はすっかり改装され、古本と中古雑貨を売る「リサイ
クルショップ」に変わっていました。中へ入ると古本は店の4分
の1ほどのコーナーに縮小されており、ほんの数冊、なぜか透明
アクリル板で仕切られた地べたにじかに置いてあった。しかも、
微妙に高額な値段のまんが本が5、6冊…。さっき、ショップス
ペースと地続きの和室で息子さんらしき大柄の人物がパソコンを
覗き込んでいたけれど、あれは値段を調べていたのかしら…。
古本コーナーはすぐに見終わってしまい、リサイクル雑貨コーナー
の湯のみセットとか螺鈿の壺とか日本人形のごちゃごちゃした中
から、可愛らしいこけしをひとつ見つけて買おうとしたとき、その
息子さんらしき人物が突然大声で、店番をする母親らしきおばさん
をなじり始めました。その声はどんどん大きくなって、だんだん
泣きと脅しと興奮が加わり、これまでの自分の半生を憂い、物を畳
に投げつけ、おばさんは縮こまってばつが悪そうでしたが、私が
手渡したこけしのお金はさささっと受け取られ、「包むもの要る?」
と、べつだん、うろたえる様子はありませんでした。このおばさん、
慣れているのだ、と思いました。
おだやかな日曜日の午後、本に誘われて出歩くつもりが自分の意志
とは無関係に家庭の事情にうちのめされて「今日ははずれー」としょ
んぼりしてしまうこともありますが、次に入った古本屋さんでいい本
が見つかると、そっこく「あたりー」に変わります。こんなふうに幸せ
と不幸が予測のつかないバランスで同一線上に乗っかっているところも、
私が古本屋さんめぐりをやめられない理由のひとつかもしれません。
それよりむしろ、自分の家の本を買い取ってもらうとき、自分の部屋
の中に古本屋さんが入ってくることのほうが緊張します。古本屋さんが
男性だったりすると女である私の緊張はマックスに達してしまいそうで
すが、みなさんは、そのあたりいかがお考えなのでしょうか。それでは
失礼いたします。
■ハルミンさんへの相談は下記アドレスまで。匿名可。
books@website.co.jp
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浅生ハルミン(あさお・はるみん)
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