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早稲田で読む早稲田で飲む【第16回】

第16回 生協書籍部との5年間【文学部篇】 南陀楼綾繁

 先日、部屋の整理をしていたら、大学一年生から二年生にかけての
「金銭出納帳」が出てきた。こんなの付けてたコトすら忘れていた。
たんに項目ごとに金額が並んでいるだけなのだが、いろんなことを
思い出した。

 当時のぼくは、親からの仕送りが4万円、育英会の奨学金が4万円
の計8万円で生活していた。部屋代は四畳半で2万円。残り6万円が
生活費だ。アルバイトはまだほとんどやってない。そんなギリギリの
生活なのに、「新刊」「古本」「貸本」の支出がヤタラ目立つ。それら
を合計した本代は、4月が4万1960円、5月が3万6870円、6月が
3万2980円……という具合。完全に半分を本代につぎ込んでいる。
一方、食費は200円、335円、586円とつつましすぎる。1000円超えてる
日がホトンドないぞ。ナニ喰ってたんだろう? こういう状況なので、
本は一銭でも安いトコロで買うに限る。なので、入学してスグに生協に
入会した。本が一割引で買えると知ったからだ。

早稲田の文学部の生協に行くには、スロープを登るのではなく、
生協食堂の右側の狭くて急な石段(北村薫の落語家円紫シリーズ
――『空飛ぶ馬』だったかで――、この石段が出てくる)を上がる
のが近道だ。生協は半分が売店、半分が書籍部になっていたと思う。
書籍部はけっして広くはナカッタが、さすがというべきか、岩波書店・
みすず書房・白水社あたりを軸に、文学・歴史・社会学などの本が
かなり揃っていた。文庫も多くはないがそれなりにあり、中公文庫
などものちに品切れになり「sumus」の連中が血眼で探し回るような
タイトルが売れないママ棚に差されていたと思う。タイムマシンが
あれば、行って買い占めたいところだ。

 通常は一割引だが、フェアによっては15パーセント〜20パーセント
割引になっていた。版元ごとのフェアのほか、大学出版、歴史出版社
などのグループでのフェアがあった。新学期には教科書や授業で指定
されたテキストも、ココで買った。とにかく大学に行ったら、授業は
出なくても、書籍部だけには行っていた。

 しかし、いま振り返ると、文学部の生協だけ使っていた時期はまだ
カワイイものだった。このあと、本部の生協を使うようになると、
恐ろしい買い方になっていく。そのハナシは次回に。


☆著者プロフィール--------------------------------------------------------
南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)
1967年、出雲市生。1986-90年、早稲田大学第一文学部に在学。
現在、ライ ター・編集者。「sumus」「サンパン」「本のメルマガ」などの同人として、
本 に関するあれこれを書き散らす。
世界初(自称)の古書目録愛好フリーペーパー 「月刊モクローくん通信」を発行中。
問い合わせはメールで。kawakami@honco.net
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2004年11月15日

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