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古本バイト道【第9回 「高そうな本、高そうな服、浮いてるアタシ」】

■■古本バイト道■■ 第9回 濱野奈美子

 青空古本まつりの1週間は怒濤のように過ぎていきました。でも、
ほかの本屋さんのアルバイトとして、友人Kもいましたし、なかなか
楽しかったといえば、楽しかったかも。なんて思っていたら、またK
がやってきて言いました。

「再来週ヒマ?」

 聞くまでもありません。ヒマに決まってます。

「じゃ、金曜日の9:30に古書会館に来て」

 了解です。もうだんだん勝手がわかってきましたから楽勝です。
しかし、この後、Kが言った一言が、私をまた大きな謎の渦に巻き
込むのです。

「あ、ちゃんとした服着てきてね。TシャツとかGパンとかダメだから。
スーツに近い格好してきて」

 はぁ…?
 今までやってきたのは、裏方仕事のヌキと販売員です。どっちもスーツ
は必要なかった。なのにスーツ? 就職活動のとき以来着てません。
どっかにあっ たっけ?

「スーツはないかも。取材に行くときの格好くらいでいい?」

 おそるおそる言ってみたら、それでいいとのこと。
しかし、後日、ニットにロングスカート、編み上げのブーツという、
「取材に行くときの格好」をしていった私は、Kにこんこんと文句を言われ
ましたけどね。「ちゃんとした格好っていったでしょ」と。

 そこには、また、未知の世界が広がっていたのでした。

 一新会の大市とも、穴八幡宮の古本まつりとも、神田の古本まつりとも
違う世界。11月の第2週に古書会館で行われていたのは、東京古典会の大市
だったのでした。
 東京古典会…それは、「古書籍業を営む店の集まりである東京古書組合
のなかで、古典籍をおもに扱っている業者がつくっている会(東京古典会
サイトより)」です。
 古典籍とは、「明治頃以前の書写あるいは印刷された資料で、いま価値
が認められるすべてのものを古典籍といいますが具体的には次のような種類
がありま す。古写経・古版経  古写本 古筆切 絵巻物・奈良絵本 
古版本・古活字本 古記録・古文書 江戸時代版本・写本 書画幅・短冊 
古地図 肉筆浮世絵・錦絵 中国朝鮮本 近代資料(さらに東京古典会
サイトより)」です。

 あぁ、もうなんだかわかんないけど、とにかく全部高そうです。本屋さんも
みんなスーツ。そして、バイトのほかの子もみんな、高そうなブラウスに高そう
なスカートにパンプスなんか履いちゃってて、おハイソな感じ。いやー、完全に
浮いちゃってます、私。Kが怒るのも無理はない。
 肝心の仕事の内容はといえば、ガラスケースのカギを持って立っていて、お客
さんが「これ見せて」と言ったときに、恭しく開けて見せるというもの。
今までとはなんか、違う。無事にやっていけるんでしょうかね。


☆著者プロフィール------------------------------------------------

濱野奈美子(はまの・なみこ)
フリーライター。長い古本バイト経験を生かして『アミューズ』の古本特集や
『古本 神田神保町ガイド』(共に毎日新聞社)などで活躍する。本業のライ
ターでは古本だけではなく、サッカー、食べ物なども。なんでも来い。
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2004年10月18日

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