■■通天閣の見える街から(8)■■ 八子博行
久しぶりに競馬でダービーを当ててしまった。
熱心な競馬ファンではないので、G1の大きなレースをたまに楽しみで
買うという程度なのだが、それでも、ここ十年ほど馬券をとった記憶
はないのだから、ハルウララも真っ青。
それにしても、ダービーを勝ったキングカメハメハの強かったこと、
久々の怪物です。なんといっても、その強さ、風格と、チープな馬名
とのアンバランスが絶妙で、心くすぐられる。で、その配当金を懐に、
「アンダーグラウンド・ブックカフェ」に行こうと考えたのだが、
あいにく、その前日12日に店に予約が入ってしまった。しかも深夜
から朝方までという、徹夜のイベント。(残念)
『BOOKISH』7号が、刷り上がってきた、表紙のカラーは毎回迷うところ
だが、今回は、青系でと決めていた。うちの店の白熱灯の下だとイメージ
通りの仕上がりなのだが、蛍光灯の下で見ると、ちょっと鮮やかすぎて
イメージとは違う。難しいもんです。
13日からの『アンダーグラウンド・ブックカフェ』で、売って頂ける
ことになった、それが初お目見えということになる。(買ってください)
ところで、7月(3日〜11日)にうちの店で、お馴染みの貸本喫茶
『ちょうちょぼっこ』による古本バザーをやることになった。「食」関係
の本を中心にと いうことで、『 book is deliciouce』というタイトル
のイベント。今回は私も、古本を出そうということで、「食」関係の本
に目を向けている。なもんで、『ロッパの悲食記』(古川緑波・ちくま
文庫)や『食物漫遊記』(種村季弘・ちくま文庫)、そして『もの食う
話』(文芸春秋編・文春文庫)といったアンソロジーに目を通す。
それにしてもロッパの食うことへの渇望の凄いこと。ただでさえ、
「食」=「命」の人が、戦時中の食べ物の不足した時代に生きることが、
どれほど過酷なものであることか。『悲食記』たる所以である。それは
そうなのであるが、それにしても、実にうまく好物のありかを見つけて
くる、物のなかったあの時代に。 食べ物に対する、嗅覚というのか
強烈な思いが、食べ物を次々と引き寄せるとしか言いようがない。
「強く願えば夢は叶う」、というような最近流行の自己実現のための
お題目が、ロッパの例を見ていると、俄然リアリティを帯びてくる。
私などはどちらかというと、「物欲」の方が勝っていて、欲しい物
を手に入れるためなら、「食」の方は二の次三の次になってしまう。
とはいうものの、そこそこは「食」の楽しみも享受したいわけで、
そのあたり、あれもこれもと、根がいぢ汚くできている。
だから、川本三郎さんのように、「食」はあくまでも街歩きとセット
で、見知らぬ小さな街を歩き廻った後、その土地に溶け込んだような
古い居酒屋の暖簾をくぐり、なんということのないアテで喉の乾きを
潤すというのが、絶妙のスタンスのように思う。
☆著者プロフィール-------------------------------------------
八子博行(やこ・ひろゆき)
1950年大阪生まれ。
小学校教師を20年続けた後、関大前で「ゲートマウス・カフェ」と
いう飲食店を経営。(ゆくゆくは古本も置きたいという)
昨年、季刊雑誌『BOOKISH』の創刊に参加、今年6月刊行の4号から
編集・発行人に。
http://homepage1.nifty.com/vpress/bkbackno.html
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