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俳優・演劇・早稲田【第6回】

―第6回目 〜半年ぶりのコラム〜2003年7月17日 ―
久保木 秀直

◆お知らせ
来年愛知で開催される、「愛・地球博」という国際万博(←日本ではつくば万博以来)のガスパビリオンで行われる「炎のマジックシアター」という舞台に主役で出演決定!!なんと津川雅彦さん、劇団新感線古田新太さんと共演!!

[半年の間に・・]
久々にコラムをかいています。実に6ヶ月ぶり。この6ヶ月の間僕は、劇団"大人の麦茶”の公演に2つ(1月「ピンポンダッシュ」4月「TOO MUCH BABY  BOY」)出演したり、バンド"てけ・まろ”をつくり、2年くらい前にやってた"霞町楽団”以来久しぶりに音楽活動はじめたり、それと友人の結婚式や2次会に呼ばれまくって、7回くらい出席したりしました。

[結婚ラッシュ]
たった半年間の間に結婚が続いたのにはびっくりした。世間に『ケッコンラッシュ』といわれるものがあるとは知っていたけれど、まさか今年自分のとこに来るとは。成人式から早6年、今年こんなことになるとは思ってない僕にとって、『冠婚葬祭』に対する準備意識など備わっているはずもなく、"こんなとき用のちゃんとしたスーツ”も、もちろん持っていなかった為、急遽、劇団の先輩にあたる"おしゃれ隊長”=中神一保氏から"ちょっとかわいいスーツ”を借りて、全ての結婚式をそれ1着で乗り切ったのだった。(余談ですが、前々から父親には「スーツくらい買っておけ」と言われており、やはり親の言うことはちゃんと聞いたほうがいいと思う。)


[友人の結婚]
スーツ1着で、仲間の結婚式に出まくり思ったのは「やっぱりみんな結婚するんだなぁ」という事。とはいっても自分だって今まで、「結婚を考えること」はあったが ・・・やはり同世代の、それも一時期何かしらの形で、同じ空気を共有した仲間が、 自分の目の前で結婚していく姿をみているとその人のことを「凄いなぁ」とか「結婚しちゃったよ」とか「幸せそうだな」とか「エライナ」「いいな」とか色々思ってしまった。
それに同時に、急に自分にとっても"結婚”が身近に感じてきて、今までなかった位に、「俺もきっと結婚するだろうな」とか、「今結婚したらどうなるのかな?」なんてことをカナリリアルに想像してしまう。う〜〜〜ん結婚って素敵!いいもの!ですな。
そして、きっと本当に凄いことで、よくよく考えれば今の僕にはやっぱり無理!って思ってしまう事でもあるのだ。だから結婚していったみんなをスゲェなと思うし、なんか自分の目の前で自分より1つ先に行かれちゃった気もするのだ。


[突然ですが・・・]
突然ですが、僕は今26歳。自分でいうのもなんだけど僕にとって26歳というのはかなり微妙。"まだまだ若い”といえば若いし、"もう大人”といえば十分に大人な年頃。この間、アルバイトの面接のTELをしたら、初めて「社員希望でよろしいですか?」といわれた、慌てて「い、いやアルバイトで・・」と切り替えしてみたが、後になってみると"そりゃそーだわな”とも思う。普通の場合、就職してて当然な年齢だしね。
そういえば、今年に入って「あれもやらなきゃ」とか「あれもやりたい」と思うことが多くなった気がする。何だか“大人になっていく”というような事に対して、わからないのに焦ったり、不安になっているんじゃないのかと思う。
『やらなきゃいけないと思う事』は山のように思いついて、それを前向きに1つ1つ片付けられていると安心する。けど、何かの拍子に少しでも休んじゃうと、山積みになった『やらなくちゃいけない』が不安や嫌悪に化けて押しつぶされそうになるのだ。僕にとっての26歳は何だかそんな不安定な年齢だ。


[幸せ?結婚?]
「人は皆幸せになりたいだけなのにな・・・」僕の劇団の作・演出家ー塩田泰造ーの作品の1つにこんな台詞が出てくる。僕はその台詞が印象的で、事あるごとによくこの台詞を思い出す。そして「そうだよな」とかよく思うのだ。
“結婚”っていうのは凄い幸せの形だ。自分が愛す大切な人と人生を共にする事、自分の家族を持っていく事、これは凄く幸せな事!・・だから僕の周りの仲間達も続々と結婚していっているのだろう。皆が幸せになりたいと思っているのだ。でも、
同時に“結婚”には大きな“守る責任”というものをを背負うことも必要となるので はないか?「お嫁さんを守る」「家族を守る」。“守る責任を果たすこと”は同時に“結婚前には当たり前にあった自由を奪う事”になると思う。それは今の自分にとって幸せか?でも“結婚”はそれらを“ちゃんと守る事”が“結婚する幸せ”に直結しているものだと僕は感じてしまうのだ。


[役者はよう・・・]
そんな事を考えているとやっぱり、“自分のことばっかし考え””自分の為に夢を見る”=役者という人間は、ナカナカ“結婚”へは踏み切りづらくなるんだろう なぁ。今の自分の周りの同年代の結婚ラッシュの中にもやはり役者の仲間は1人もいない。大好きな人がいて、「この人と一緒にいたい!」って思っても、今は自分の事だけでも一杯一杯の人間に「どうやってもう1人の人間を守っていけるのか?」と自問自答すればやはり厳しくなってしまう。“収入が安定しない”“これからの事もわからない”そう思ったら、結局1人で自由を持っていた方が身軽で、現状を考えたらしょうがないということになってしまう。


[スゲェ奴ら]
一方で、若いうちに結婚している役者がダメになるかというとそうでもない。自分はここ数年、ほとんど年上↑(といっても30代)と舞台をやらせてもらってきたが、振り返ってみると自分にとって“いい役者さん”だと思える人が、若いうちに結婚しているという事実があることに気付いた。
“これは、一体どういうことだろう?”と思ってしまう。実は結婚することによる“守る責任”というのは、役者にとっては“有効なもの”なのではないか?・・・でもよく考えるとこういうことじゃないかと自分は思う。それは、「きっとこの人達は凄い奴だ」もしくは、「凄い奴になった人達だ」ということである。

つまり、この人達は、“役者”として自分の事で一杯一杯になる状況でありながら、同時に愛する大切な人や家を“守る責任”も果たしてやってきている凄い人達なのである。今の自分からはちょっと想像もつかないことを今の自分くらいの年齢から何年間もやってきているという事実。
“役者は生きてきた過程が武器になる”・・らしい。この人達は、そんな凄い事をやってきた漢(オトコ)だからこそあんないい芝居ができるんじゃないかと思えてしょうがない。


[幸せになろう]
「幸せになりたい」、最近またよくそう思う。別に不幸せではないけど。
僕が自分に幸せを問うと、今のところやはり「芝居」に関することが大きいようだ。今までは『芝居』に対して有効でないと思うもの、邪魔なもの、めんどくさいものなどは捨ててしまう事が多かった。でも、最近は、それが自分にとって大切であったり、愛していると感じるなら、自分にとって重荷であったり、足手まといと感じるものであったとしてもそこを無理矢理もがいてみたいと思うようになった。
僕の26歳は微妙な年齢だ。『やらなくちゃいけないと思う事』は山のように思いついて、それを前向きに1つ1つ片付けられていると安心する。けど、何かの拍子に少しでも休んじゃうと、山積みになった『やらなくちゃいけない』が不安や嫌悪に化けて押しつぶされそうになるのだ。そんな時期に手放せないもの、愛しいものを抱えて、守って生活していく。それはきっと物凄く大変だけど、それを何とかやり抜いたとき、やり通せるようになった時には、自分もいい漢(オトコ)、いい役者になれるかも!?そこには幸せも待ってる!そんな気がするのだ。今はそれを信じてみたいと思うのだ。

(2003.7.17)


☆著者プロフィール---------------------------------------------------
kuboki.jpg
久保木 秀直(くぼき ひでなお)
S.52年 茨城県生まれ、千葉県育ち。早大在学中、早稲田大学演劇倶楽部に所属。演劇を始める。innerchild,INSTANTwife,ロニーロケットなどの公演に参加。
98年、CMディレクターでもある演出家、塩田泰造のユニット“JALOPY”に初参加。以後現在に至るまで、ほとんどの塩田作品に出演。2000年より、歌と踊りと芝居の融合をコンセプトにしたバンド、霞町楽団の立ち上げに参加。霞町楽団のボーカル 兼演出・構成・振り付けなどを担当。バンドでの名前は「まろ」。ここ数年の目標は、「日本一の芝居を打つこと!」その為毎年正月には、初詣に行って、お祈りするのが習慣。 現在はフリーで活動中。
★所属劇団『大人の麦茶』ホームページ
http://www.otomugi.com/
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2004年09月29日

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