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早稲田の文人たち【その6】

早稲田の文人たち【その6】 野口冨士男【前篇】

昨年「早稲田古本ネット」で同名のコラムを持っていましたが、資料探しでバタバタするうち休載が続いてしまいました。そこで、今回はあまり資料を必要としない話で気楽に、という「古本村青年部長」のお勧めもあって、再度登板させていただくことになりました。 
  前にも増して、脈絡なく、いい加減な話になりそうですが、何卒よろしくお付き合いください。――筆者敬白

  で、いきなり慶応中退の「野口冨士男(1911-93)」の登場で、早くも早慶戦の態なれど、何を隠そう、この方こそ、明治・大正・昭和と続いた歴史ある文学者居住区「早稲田」の地に住み着いた、ほとんど最後の〈早稲田の文人〉なのである。

氏はちょうど10年前に亡くなられたが、それまでは、早稲田古本村や早稲田通りをぶらついておられるお姿を、よく見かけたものである。
  氏には、傘寿(80歳)の年に発行された『野口冨士男自選小説全集』(平3・河
出書房新社)に代表される小説群のほかに、『徳田秋聲傳』(昭40・筑摩書房)『日本ペンクラブ三十年史』(昭47・日本ペンクラブ)、『感触的昭和文壇史』(昭61・文藝春秋)などの仕事がある。
  また、芸術院会員にして、文芸家協会理事長でもあった。

  その野口に、自宅のある「西早稲田二丁目」から、諸方に散歩に出掛けた話に、『私のなかの東京――わが文学散策』(昭53・文藝春秋)という本がある。
  神楽坂育ちの著者は、まず最初の章で、飯田橋から外濠にそって、幼稚舎時 代から通った慶応のある三田までを歩く。
  その後、銀座界隈、小石川・本郷・上野、浅草・吉原・玉の井、芝浦・麻布・渋谷と巡って、この本の最後の章は、再び神楽坂から早稲田に帰ってくる、という構成になっている。 (以下、次回)

(2003.5.20)

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著者プロフィール 松本八郎(まつもと・はちろう)
1942年、大阪生まれ。早稲田在住40年。早稲田にて出版社EDIを主宰。忘れら れた作家たちをこつこつと掘り起こす。「EDI叢書」「サンパン」などを発行 して話題に。
「sumus」の同人でもある。
EDI ホームページ 
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2004年09月29日

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