■■目まいのする古本相談室 第6回■■ 浅生ハルミン
【質問】
chinatuさま 23歳女性
はじめまして。いつもメルマガ拝見しております。
私の古本歴はまだまだ短くたったの1年です。
どちらかというとキレイなお店より、おじいさんが
一人でやっているような本屋さんがしっくりきます。
そういうお店って独特の匂いがありますよね。
なんだかおちつく匂い。うちもおじいちゃんが凄い
本をいっぱい持ってて、部屋にどーんと積んで
あるんですけど、同じ匂いじゃないような・・・。
この違いってなんなんでしょう。本屋さんの魔力?
変な質問ですみませんが、ハルミンさま、私の
もやもやを解消してくださいませ。
【答え】
「いつか自分のお店を持ちたいワ」と胸に秘めているのは銀座
のやり手のチーママだけでなく、古本を集めるだけではもの足
りなくなってしまった好事家もそう望まれるかたが多いと思う
のですが、ご相談者のchinatuさんもまた「自分の部屋が古本
屋さんのもつ独特の雰囲気にならないのはなぜか」とのことで、
それは一度お宅にうかがって、実際に間取りと本棚の状態を拝見
してみないことにはなんとも……。でもでも、そんなことは無
理なので、私の想像の範囲でお答えいたします。
部屋に古本屋さんの雰囲気を…それはまず、冷蔵庫や家具を捨
てて生活感をなくすことから始まります。お店によっては店舗と
お茶の間が直結している場合もありますので、もしchinatuさんが
そちら派であれば、部屋の前半分に本棚を集中的に並べ、残りの半
分の床を少し高くして、こたつやちゃぶ台やテレビを置かれるの
がよいと思います。この配置だけでもずいぶん古本屋さんの雰囲
気に近くなるのではないでしょうか。
ただ、生活感を取り除いた非日常的な空間に本をならべること
によって、視覚的には近づくことができたとしても、それはしょ
せん似て非なるもの。といいますのも、古本屋さんはただお店で
猫を撫でてのんびりしているわけではなく、古本屋さんの床下に
は、本を売ってお金に換えねばならぬという熱い地下水脈が通っ
ているのです。本の陳列方法やセレクションもそれに沿って工夫
されているものだと思いますので、chinatuさんも「蔵書はすべて
売り物だ、この本を売るためにはいったいどうすればよいのでしょ
う…」という気迫を込めるようにすると、古本屋さんのもつ、形
のないリアリティがchinatuさんのお部屋にも立ちのぼりはじめる
のではないでしょうか。
夢のない話だなーと思われたかもしれません…ここまで読んで
くださったお礼に店舗物件の情報を記して筆を置きます。
○池尻大橋の商店街に、店主のおじいさんが亡くなって、しばら
く閉店していたテーラーに賃貸募集の貼り紙あり。
小さなショウ・ウインドゥと木枠のドアが素敵でした。私だった
らそこに本を二、三冊、譜面みたいに立て掛けたい。ついでにこ
けしもならべてみたい。そして夜はカーテンをしめます。テーラ
ー、もう誰かに借りられてたらごめんなさい。
☆著者プロフィール----------------------------------------------
浅生ハルミン(あさお・はるみん)
イラストレーター。『彷書月刊』にて「ハルミン&ナリコの読書クラブ」を
連載中。『modern juice』にも毎号寄稿。その他数々の雑誌にイラストや
コラムを寄稿。本の装丁も手がける。
集めた古本を販売する「ハルミン古書センター」も次々と支店が。
ハートランド(西荻窪)http://www.heartland-books.com/
古書上々堂(三鷹)〒181-0013 三鷹市下連雀4-17-5 TEL 0422-46-2393
古書現世(早稲田)http://www.w-furuhon.net/
上記古書店でハルミンセレクトの古本を販売中。
「ご来店お待ちしております あさお」
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