第10回 午前3時の喫茶〈白ゆり〉 南陀楼綾繁
この連載の第8回に、訂正と補足をしておきたい。
この回では高田馬場駅前の「FIビル」を取り上げているが、そこに
以下の記述がある。
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2階には、いまはなくなったが、エスカレーターを降りて左に
〈ジャンナン〉という喫茶店があった。以前に触れた「乱調社」の
メンバーが10人ぐらいココに集まり、小さな発表をしたり、雑談を
していた。アルコールなしなのに全員めちゃくちゃアッパーで、
「おたく」から南方熊楠までを口角泡を飛ばして語り合った。店員
の冷ややかな目が忘れられない(笑)。同じ階には、昔もいまも
〈揚子江〉という中華料理屋があるが、入ったことはない。
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〈揚子江〉には、つい二週間前に初めて入った。第8回を読んでメール
をくださった昔の仕事仲間の松江真理子さんが、「学生時代によくコン
パにつかった」とおっしゃるので、ベルギー在住の彼女が一時帰国した
ついでに、この店で会ったのだ。高級そうな店だと思い込んでいたが、
けっこう安くて量があった。水餃子がウマかったことを報告しておく。
もうひとつ。「乱調社」という集まりについて「以前に触れた」と
あるが、この連載ではまだ触れていなかった。そこで簡単に説明しよう。
「乱調社」は、現在評論家として活躍している浅羽通明さんを中心に、
学生、編集者、研究者、フリーター、神主その他、いろんな人たちが
参加するサークルというか集団で、早稲田奉仕園の部屋を借りて、レ
ポーターを立てての月例会を開いたり、年に数回、研究者や作家を呼んで
の講演会を企画していた。ぼくは当時参加したうちのおそらく最年少
だったが、この場で学んだことは数限りなくあった。
15年以上前のことになるので、もはや記憶は定かではないのだが、
〈ジャンナン〉を使うのは、奉仕園の部屋が予約できなかったり、人数
が少ないときだったと思う。奉仕園での月例会はだいたい9時頃まで
かかったから、そのあとに行く喫茶店は、かならずといってイイほど
〈白ゆり〉だった。高田馬場駅近く、〈未来堂書店〉の地下にあり、
そのまま地下鉄に降りられるし、ナニしろ朝5時まで営業している。
店は奥行きが深くて、手前には終電を逃したサラリーマンが死んだよう
に眠っている(ときどき店員が起こしていた)。夜が明けたら、その
まま駅前から飯場に直行するであろう男たちもいた。
いちばん奥には10人以上が一緒に座れる席があり、そこを占領して、
コーヒー一杯で朝までいろんなハナシをした。現代思想、民俗学、
最近の雑誌、学者のゴシップ……。さっきの発表について議論が続く
こともある。腹が減ると、「スタミナ定食」を注文した。他にもメニュー
はあったけど、腹にたまるのはコレぐらいだったような気がする。
朝3時を過ぎると、さすがにみんな疲れ果て、一人また一人とテーブル
に突っ伏していった……。
☆著者プロフィール--------------------------------------------------------
南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)
1967年、出雲市生。1986-90年、早稲田大学第一文学部に在学。
現在、ライ ター・編集者。「sumus」「サンパン」「本のメルマガ」などの同人として、
本 に関するあれこれを書き散らす。
世界初(自称)の古書目録愛好フリーペーパー 「月刊モクローくん通信」を発行中。
問い合わせはメールで。kawakami@honco.net
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