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目まいのする古本相談室 第5回

■■目まいのする古本相談室 第5回■■ 浅生ハルミン

KAZUさま(29歳・男性)

以前ネコと古本について書かれておられましたが、
うちのネコも大変な癖を持っています。僕が寝転んで本を
読もうと思い本を広げるとどこからか走ってきて本の上に
乗ってしまうのです。一番落ち着く姿勢が寝て読むという
姿勢なので、座ってとかで読みたくないのです。
やはりネコ優先であきらめるしかないのでしょうか。
お知恵を貸してください。

 KAZU様。残念ながら、それをやめさせるのはちょっと
むつかしいと思います。本をひろげたところにわざわざ乗る
という行動は、私の知っているだけでも、私の家の猫、友だ
ちのまみこさんちの猫、『村上春樹とネコの話』という本を
書かれた鈴木和成さんというかたの家の猫…とぱぱっと数名
おもい浮かぶくらい、猫のメジャーな行動のようです。その
理由はたぶん誰にもわかりっこないのですが、猫をなでなで
しながらこれまでの私と猫との交流に思いを馳せてみると、
人が猫を擬人化して見ているように、猫も人間を猫と思って
いるからだと思えてなりません。
 思いますに、人は、ひろげた本の上に猫が乗ってくること
を「もう邪魔よ」としりぞけますが、猫にしてみれば、よく
わからない四角い物体が急に2倍も大きくなって(本を見開
いたから面積は倍)、俺のごはん運び係りの生き物に急接近
した!大丈夫なの?!と心中おだやかではなくなり、自分の
手に負える対象かどうか、人間の安全を確認しているのだと
思うのです。同じように人がトイレにこもった時や、布団を
かぶった時、お風呂に入った時なども猫はととととっと駆け
つけて何かを点検しにやって来ますが、猫にとってはそのど
れも「俺のごはん運び係りの危機」と感じているのではない
でしょうか。飼い主が自分(猫)よりそこそこ大きい物や
空間(お風呂やトイレ空間も一個の“物体”だと思っていそう)
に接しているとき、よりその気持ちが盛り上がっているような。
確認しおえると気が済んで、じっくり落ち着いているようだし。
 猫は人を心配しているというのに、そうとは知らず邪魔を
しにきたと捉える人間… それはまるで、好きな娘に出した
恋文のお返事に「私、貴方が好き」と書いてあるのを読んで
「キカタってやつのことが好きだっだのか、フラレたーーーっ」
と嘆き悲しむ漢字が読めなかった男子のようなものなのかも
しれません。サインの読み違いですからしょうがないのです。

 それでは私の少ない体験から思いつく解決策を。
 それは「囮(おとり)の本を置く」です。
さも囮の本を読みたげな雰囲気を醸し出し、猫が乗ってきたら
素直に譲る演技をして、しょうがなさそうに本命の本を広げる。
あくまでもこちらは二番目というふうに…。
 猫は自分が飼い主よりも偉いと思っていて、人はその被虐を
甘んじて受け入れなければならないとよく聞きますが、そうと
も言い切れない、猫の意外な包容力をあらためて感じることが
できる質問でした。ありがとうございました。


☆著者プロフィール----------------------------------------------
浅生ハルミン(あさお・はるみん)
イラストレーター。『彷書月刊』にて「ハルミン&ナリコの読書クラブ」を
連載中。『modern juice』にも毎号寄稿。その他数々の雑誌にイラストや
コラムを寄稿。本の装丁も手がける。
集めた古本を販売する「ハルミン古書センター」も次々と支店が。

ハートランド(西荻窪)http://www.heartland-books.com/
古書上々堂(三鷹)〒181-0013 三鷹市下連雀4-17-5 TEL 0422-46-2393
古書現世(早稲田)http://www.w-furuhon.net/
上記古書店でハルミンセレクトの古本を販売中。
「ご来店お待ちしております あさお」
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2004年09月09日

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