■■通天閣の見える街から(3)■■ 八子博行
『BOOKISH』6号「特集・戸板康二への招待」がやっと出来上がった。
没後10年の去年、刊行したかったのだが、諸々の事情で、年明けの刊行となって
しまった。年の暮れも迫った、26日に刷り上ったのだが、最終的には二晩ほど
徹夜という状態だった。それもこれも、あまりにも手際の悪い私のせいで、
謂わば自業自得。執筆して頂いた方々や、当世子夫人には、早速お送りしたのだが、
当世子夫人に喜んでいただけたのが、何より嬉しくほっとした。
今回、『BOOKISH6号』刊行に当たって、HPを起ちあげることにした。
http://www.sutv.zaq.ne.jp/ckabb202/
で、コンテンツなのだが、編集委員のコラムとともに、大阪で「オダサク倶楽部」
という織田作之助をキーワードに、活発な動きを続けている井村身恒さんにもコラム
ををお願いした。題して「オダサクシティ遊歩日記」、ただし、「日記」とは言う
ものの毎日更新というわけには行かない、せいぜい月に2〜3回というところだろう
か。
その分、編集委員のコラムがあるので、そちらをご覧願えたらと思っている。
井村さんは、『BOOKISH』4号の「海野弘が歩いたモダンシティ」のときに、
インタビューをさせてもらった。堺で高校の先生をされてる方だが、雑誌『大阪人』
の連載をはじめ、大阪を盛り上げようという様々なプロジェクトとも関わっており、
非常に顔の広い人だ。とりわけ、去年11月頃に、道頓堀の老舗うどん屋「今井」で
催された「道頓堀ジャズを聞く会」というイベントには、興味をそそられた。
「道頓堀ジャズ」という、ローカルな名前を前面に押し出した潔さがなんとも痛快で
心地いい。しかも、これはライブ演奏ではなく、蓄音機によるSPレコードの鑑賞会で
ある。
「今井」は現在でこそ、うどん屋として有名だが、もともとは楽器店で、楽器のほか
にレコードや楽譜なども商っていたという。SPレコードをかける蓄音機も所蔵してい
るわけで、そんなこともあって、会場が「今井」となったのはいろんな意味で、会の
趣旨にもぴったりだったようだ。とはいうものの、生憎私のほうは、
例の「ちょうちょぼっこ」の古本バザーのイベントとかちあって参加できなかった。
しかし、「おもろい」イベントの仕掛け人として、再度、井村さんに対する興味が
高まってきていた。
年が明けて早々、久し振りにオダサク縁の「自由軒」で、井村さんとお会いした。
カレーとビールで腹ごしらえをした後、華の家ケイさんという、ちんどんライブで
活躍している女性が経営する懐メロ・スナック「はなのや」に向かった。懐メロと
言っても、半端な懐メロではない、戦前・戦中・戦後のあまり聞いたことのない
唄を、お客は、実に楽しそうに歌っている。なんともディープな懐メロスナックであ
る。
もちろん、ママであるケイさん率いるチンドン・バンドのライブもある。
ともあれ、暮れから、雑誌の編集で引きこもりがちだった私にとって、久々に
爽やかな外気に触れた一夜だった。
☆著者プロフィール-------------------------------------------
八子博行(やこ・ひろゆき)
1950年大阪生まれ。
小学校教師を20年続けた後、関大前で「ゲートマウス・カフェ」と
いう飲食店を経営。(ゆくゆくは古本も置きたいという)
昨年、季刊雑誌『BOOKISH』の創刊に参加、今年6月刊行の4号から
編集・発行人に。
http://homepage1.nifty.com/vpress/bkbackno.html
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