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目まいのする古本相談室 第2回

■■目まいのする古本相談室 第2回■■ 浅生ハルミン

K・Uさま(28歳男性)

【Q】
はじめまして。
最近いろいろな古本屋さんが増えています。ネットだけの
店も増えています。僕もプロのようになれなくとも週末古本屋
になってみようかと思ってみたりしています。
お正月に旅行がてら京都の恵文社で行われた古本市に行ってき
ました。浅生さんも「ハルミン古書センター」として参加され
ていましたね。品揃えはやはり「せどり」したものを並べてい
らっしゃるのでしょうか。やはり売るために買うとなると読む
ために買うのとは違うのではないかと思います。
浅生さんはどのようにわけていますか?教えてください。

【A】
みなさまは「恋愛と結婚は別物」という、旅館のテレビ(=ここ
から先は有料です)めいた変わり身の早さをあらわす言いぐさを
どう思われますか? 
そんなこと、大人になってもまだ考えているなんて幼稚だわ、と
みくびられてしまいそうですが、思うに恋愛と結婚は分けること
のできない混然一体となったもので、その境目はこれと、つねに
はっきりさせておくこのとのほうが難しいのではないでしょうか。

 理想と現実を分けて考える難しい、ということは、私がにわか
古本屋をするときどんな本を置くかということにも当てはまります。
たとえば自分はあまり興味の持てなかった人気作家が死亡したとき
追悼のポップを早業で作り0をひとつ多く書いたりしたら…きっと
私の心は荒むでしょう。サラダ記念日の初版本が高値になると小耳
とはさみ、ブックオフでそればかり探していたら…大量の本を安く
買い叩かれたお客さんの残留思念できっと心が荒むでしょう。この
ように、いくらお金が儲かりそうだからといって己になじみのない
本を自分の棚に並べることを身体が拒否してしまうのです。ただ、
自分が知らなかっただけでで読んでみるとなじみ深い気持ちになる
本もあるかもしれず、ゆえに本はとりあえず手にとってよく見てい
きたい、むしろ無差別なほどに!と思います。

 私が自分の棚で売りたい本は、読んで面白かった本、好きな著者
とそれに関連した本、装丁や挿画がいい本、本文組が美しい本、
部分的に何かに役立ちそうな本、その本のありよう自体がすばらしい
本…など枚挙に暇がありませんが、とどのつまり自分が気に入った本
になってしまいます。これは古本屋がなりわいではない素人ならでは
の気楽さです。ただ気楽なぶん、目論みをはずす悲しさもあります。
「これを婦女子が買ってくれたらいいな」と期待して置いてみた
1980年頃までの「体位の本」は、その語感の弱さゆえか、中身の
インパクトがありすぎるせいか、私が棚をお借りして古本屋さんを
している西荻窪のハートランドではかなり前から売れずに座を温めて
いて、自分の好きな本が売れる本だとは限らないのだな、世の中は
なかなか上手くいかないな、とひしひし感じる昨今です。とても
見どころの多い本なのにな。謎、謎。“古本を売るのが上手い人”
というのはきっと、多くの人に「あー、それは前から私も気になって
いたのよー」という気持ちを起こさせるちからを持つ人なのではない
かと思います。

 みなさまは、「恋愛と結婚は分けて考えますか?」と聞かれたら
どう答えますか? これはっきり「分けてます」と答える人なんて
いるのでしょうか。私ははっきりと答えられないあいまいさの中に
こそ、生きるよろこびが含まれていると思います。みなさまに素敵
な本との出会いがありますように。アーメン。


☆著者プロフィール----------------------------------------------
浅生ハルミン(あさお・はるみん)
イラストレーター。『彷書月刊』にて「ハルミン&ナリコの読書クラブ」を
連載中。『modern juice』にも毎号寄稿。その他数々の雑誌にイラストや
コラムを寄稿。本の装丁も手がける。
集めた古本を販売する「ハルミン古書センター」も次々と支店が。

ハートランド(西荻窪)http://www.heartland-books.com/
古書上々堂(三鷹)〒181-0013 三鷹市下連雀4-17-5 TEL 0422-46-2393
古書現世(早稲田)http://www.w-furuhon.net/
上記古書店でハルミンセレクトの古本を販売中。
「ご来店お待ちしております あさお」
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2004年08月17日

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