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古本バイト道【第1回 軽い気持ちが・・・】

■■古本バイト道■■ 第1回 濱野奈美子

 市場や即売展のアルバイトとして神保町の古書会館に出入りするようになって、
早10年近くが経ちました。その間、会社員だったのが、限りなくプーに近い状態
になり、今はなんとかライター業で細々と食べています…食べてるはずです…食
べてると思いたい…。しかし、いまだに即売展で売り子をしているのは一体なぜ
なんでしょう?

 そんなわけで、今回から古本バイトの歴史を書かせていただくことになりました。
限りなくクローズドな(実際はそんなことはないと思うのですが)古本業界のほん
の一端をお伝えできればと思います。

 突然ですが、ある朝出社したら、会社の前に役員やら管理職やらが並んでいて、
「君たち、もう今日から働かなくていいから」と言われたことはありますか? 
自慢じゃないが、私にはあります。まだ会社員だったころ、10年ほど前の話です。
 これが、「解雇」だというなら話は早い。失業保険をもらって、次の就職口を
探すまでです。しかし「就労拒否」となると、ちと厄介。身分は会社員のまま
仕事もできず、収入もない。さらに、労働争議になってしまったので、就職活動
するわけにもいかない。
 最初の頃こそ、組合からお金を貸してもらってなんとか生きていましたが、そう
いつまでも何もせず、借金ばかりかさませていても、さらに自分のクビを締めるだ
けです。

「なんとかしなければ」と焦った私は、ふと就職活動中にちょこっとだけやった
アルバイトのことを思い出しました。新宿マイシティや、今はタワーレコード渋谷店
になってしまったキッズファーム・パオの前で古本を売ったような…そうだ! あの
バイトなら短期だし、とっ払いだし、ぴったりじゃん!
 もともと古本は嫌いじゃなかったし、長時間立っているのが辛い以外は仕事もイヤ
じゃなかったような気がします。さらに記憶の糸をたぐり寄せます。あのバイトって
誰が紹介してくれたんだっけ? そうか、Kか。
 友人Kは大学卒業後も就職せず、確か今もアルバイトで生活しているはずです。
私はKに相談することにしました。ずいぶん久しぶりの電話だったと思います。

「あのさぁ、学生の時やってた古本屋のバイトってまだやってる?」

 思い起こせば、これが、長く険しい「古本バイト道」への第一歩でありました。
急場しのぎの軽い気持ちです。まさか、その後10年間もの長きにわたって、
ずっぽりはまってしまうとは夢にも思っていません。

 彼女は、
「じゃあ、再来週の木曜日1:00までに来て」
と、御茶ノ水駅からある地点までの道順を説明しました。「古書会館」という言葉は
聞きましたが、それがなんなのか私にはわかりません。そして、肝心の仕事の内容も
一切説明されませんでした。
「ま、本売るんでしょ」くらいの気持ちで、当日、いそいそと出かけていった私は、
そこで未知との遭遇をすることになったのです。


☆著者プロフィール------------------------------------------------

濱野奈美子(はまの・なみこ)
フリーライター。長い古本バイト経験を生かして『アミューズ』の古本特集や
『古本 神田神保町ガイド』(共に毎日新聞社)などで活躍する。本業のライ
ターでは古本だけではなく、サッカー、食べ物なども。なんでも来い。
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2004年08月02日

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