










古本共和国 第7号('92)
『ワセダの街の将来は…』 早大周辺商店連合会 桜井 一郎
最近、ワセダの街に会社が増えてきている。しかも従来の学生対象の事業所や店舗ではない。コンピュータソフト関連や旅行業、電話のリース会社など、規模は小さいが、時代の先端ともいえるサービス分野の会社が多い。
もう一つ、ワセダの街でこの頃よくみかける光景は、中高年のご婦人方のグループである。この方々は多分、子育てを終えたワセダの卒業生の集まりか、早大社会人向け講座であるエクステンションセンターの受講生グループではなかろうか。また、早稲田大学の女子学生数が8千人を越え、自宅通学者の数も7割を超えたそうだ。
こうした傾向をつなぎ合わせて商人の側から見ると、ワセダの街には7〜8年前からのお客はほとんどいないのではないだろうか。地元に住んでいる人々対象の業種を除けば、大学の教職員の方々が唯一昔なじみのお客さんである。それも、以前は大学の先生といえば貧乏教授のイメージがあったが、今はワセダの先生方も相当の収入があるらしい。
ここで第一の結論。すでに早稲田の街の客層に占める学生の割合は相当低い。しかも今のワセダの客層は大いにリッチである。早大生の家庭の年収は東大生と並び全国一だそうだ。
さて、バブル経済という文化の過渡期の現象を経て、これからは"イメージ"が時代のキーワードになりつつある。早大エクステンションセンターの会員数は現在すでに一万人を数える。会社中心主義から一皮むけた自己実現を求めて、幅広い層がこの街を訪れつつある。UCLA(カリフォルニア大ロサンゼルス校)のエクステンションに通う社会人学生数は12万人というから、日本の主要大学のそれもいずれ近い数字になることが予想される。
そのUCLAの学生寮は6、7、8月の3ヵ月間、大学のサマーセッション受講者や、会議や学会に世界から集まる人々の宿舎となり、ひと夏に述べ何万人もの人が利用するという。UCLAのあるウエストウッドの街に落ちるお金も相当のものだろう。
ワセダの街もかっては下宿屋で賑わっていたが、大学とも協力して、これからの時代に対応するような宿泊施設を作る時期にきたいるのではないか。授業のある時期は学生が利用し、春休みや夏休みには、修学旅行やエクステンション受講者の短期滞在拠点に使う。地方からと東京観光に訪れる人や、世界からの旅行者にも開放すれば、稼働率100%の施設になる。共同建築でこうした施設をつくり、分譲タイプにすれば母校のある街での資産運用としての早大の卒業生も関心を示すのではないか。この街の高齢商店主の老後資金も確保できる。
ここで第2の結論だが、学生街は"知の時代"を象徴するまちとして、新しい繁栄を迎えつつある。大学を始め、ワセダの街の有形無形の資産を活かした街づくりを進めれば、ワセダの街の可能性には限りないものがある。
そして、早稲田青空古本祭のような新しい伝統を築きつつあるイベントが、さらにワセダの街を賑わしていく。大隈通り商店街でも今年の10月から『ワセダ川柳まつり』を始める。全国のワセダファンの"ワセダ"にまつわる思い出を川柳に託してもらい、それを商店街に飾り付けるというこころみだ。果たしてどんな作品が寄せられるだろうか。青空古本祭を訪ねる人にもぜひ見に来ていただきたい。